2012年08月07日

いかに老化を防ぐか・・・ 長寿をまっとうできるか?(その3) 2012年8月 Vol.148

ヒトは何歳まで生きられるか?

ところで、なぜ人間や動物には老化や寿命があるのでしょうか? それにはいろいろな説があります。しかしながら、これまでの話に関連しますが、大きく分けて「プログラム説」「エラー説」という2つの説に集約されるようです。

「プログラム説」というのは、老化や寿命はあらかじめ遺伝子の中にプログラムされているというものです。
ヒトの体を構成する60兆個の細胞は、(分裂しない)心臓や神経細胞を除いて、分裂による新陳代謝を繰り返しながら健康を保っています。しかしながら、分裂できる回数があらかじめ決まっている(プログラムされている)というのです。

ヒトの場合、だいたい50〜60回であり、この分裂回数から最大寿命は120歳であることが推定されました−事実、これまでに120歳近くまで生きた人はいても、120歳を超えた人は、ほとんどいないとされています。

唯一、フランスのジャンヌ・カルマンさんという女性が122歳164日(1875-1997)の記録でギネスに登録されています(フェンシングを85歳から始め、自転車は100歳まで乗ったそう)。

カルマン40歳.jpg

また、その他の動物の分裂回数を調べてみて、最大寿命との関係をグラフ化してみると、どの動物もほぼ直線上にのってくるのです(下のグラフ)。

細胞分裂寿命.jpg

マウスやネズミなどは、2〜3回程度しか分裂できず、その寿命も3年程度と短くなっています。一方、最大寿命が175年というガラパゴスゾウガメでは125回ぐらい分裂ができるそうです。

胞寿命時計で寿命が決まる!?

この細胞の分裂回数が、染色体の末端にあるテロメアによってコントロールされていることがわかってきました。このため生命科学の学者からは、テロメアは「細胞寿命時計」と呼ばれているそうです。

細胞が分裂し、遺伝子DNAが複製されるたびにテロメアが少しずつ短縮され、分裂能力が衰えていきます(老人ほどテロメアが短くなっています)。そして、ある限界まで短縮されると細胞の分裂が停止してしまうのです。分裂が止まるということは細胞の死を意味し、結局は個体の死につながります。
つまり、テロメアの長さによって老化や寿命が決められる、ということになるのです。

染色体とテロメア.jpg

では、こうした「プログラム説」によって、老化や寿命は決定されるのか? となれば、もちろんそうではありません。人間の最大寿命120歳というのは、既にプログラムされているかもしれませんが、老化や寿命は個人差がひじょうに大きいのです

つまり、テロメアの短縮も生活習慣や生活 例えば動脈硬化の主な原因は、過剰なコレステロールによるものです。これが血管壁に蓄積すると血管が傷つき、何度も修復されるうちにテロメアの短縮が極端に早くなってしまうことがわかっています。

「強い心理的なストレスは細胞の老化を早める可能性が高い」と、米カリフォルニア大学などの研究チームが発表しました。
ストレスが様々な病気の引き金になることは指摘されていましたが、科学的なメカニズムは不明でした。この研究において、免疫に関わる白血球細胞のテロメアの長さを調べたところ、特にストレスを感じている人は寿命が10年以上も短くなる長さになっていることが判明しました。

ストレスは細胞の老化.jpg

肥満もテロメアを短縮させる原因になります。イギリスの研究で、ロンドンに住む18〜76歳の女性1,122名のテロメアを調べたところ、肥満の人は、そうでない人に比べてテロメアが約10年分も短かったといいます。
 
喫煙もテロメアに影響を与えているようです。タバコを1日1パック、10年間吸っている人は、2年分の寿命に相当するテロメアが短くなっていたことが報告されています。

余談になるかもしれませんが、なんと虐待を受けてきた子ども達のテロメアが短くなっていたというのです。米デューク大学の研究チームが発表しました。

つまり、老化や寿命が宿命とされるようなプログラム説であっても、「生活習慣や生活環境の影響が非常に大きい」ということになるのです
posted by つうしん at 11:01| Comment(0) | アンチエイジング
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